伊藤潤二の傑作まとめ

伊藤潤二さんの作品は「独創的な世界観」と「卓越した画力で描き出されるキャラクターたち」が魅力で、「ただ怖いだけの漫画」にとどまらない"ぶっとんだ発想"でホラー漫画好きを驚かせてきました。

 

長編ストーリー

『うずまき』

架空の町、「黒渦町」を舞台に展開される"うずまき"にまつわる怪奇現象に巻き込まれていく女子高生・五島桐絵とその恋人・斎藤秀一の物語。

伊藤潤二作品の中で僕がもっとも驚愕したのがこの『うずまき』という作品です。

とにかく設定がすごい。舞台となっている「黒渦町」という町では"うずまきの呪い"というものが蔓延していて、町中のありとあらゆるものが渦を巻いています。その呪いは次第に広がっていって・・・。

富江

妖艶な魅力を持つ絶世の美少女「富江」とその魔性の魅力に憑りつかれていく男たちの話。実写映画化もされました。

この「富江」という少女に好意を抱く男たちは皆、"さまざまな理由"から次第に彼女に殺意を抱き殺害を試みるのですが、彼女はどれだけ殺しても死ぬことはありません。それどころか肉片から蘇り、次々と「富江」は増殖していきます。

『ギョ』

"脚の付いた魚たち"に追いかけまわされるパニックホラー漫画。

設定だけ聞くとB級モンスター映画みたいですが、実はノリもそんな感じ。しかし、そこはただのモンスターモノで終わらないのが伊藤潤二さんのすごいところです。

終盤にかけるにつれ、「なぜこのような事態になったのか?」が明らかにされていく時、"この物語の本当の奇妙さ"を知ることになります。

ショートストーリー

『グリセリド』

長年の営業でススや油が壁中にこびり付いたある焼肉屋さんの亭主とその息子&娘たちの話で、タイトルの通り"油"をテーマにしています。

寝ている娘に油をゴクゴク飲ませたり、お兄ちゃんにニキビ油を飛ばされたりと生理的に嫌悪感を抱かせるような出来事が「これでもか!」と展開されていきます。

『潰談』

南米のジャングルから持ち帰ってきた、この世のものとは思えないほど美味な"蜜"。一度舐めるとその味が忘れられずに蜜以外のものが口にできないほど。しかし、それを口にすると"何か"に潰されて殺されてしまうというお話。

「恐怖、絵の迫力、謎」とホラー漫画に必要な要素がすべて詰まっているといえるこの作品。

『首吊り気球』

街中に「自分と同じ顔をした気球」が溢れて人々を追いかけまわし、その気球にぶら下がっているワイヤーロープで首を吊っていくというお話。

設定的にも絵面的にもかなり奇天烈なものなので、「ギャグすれすれのホラー漫画」といった印象ですが、 一読する価値はあると思います。これこそが伊藤潤二クオリティ。

『黒い鳥』

登山中に発見されたある男性。その男は一ヶ月前に遭難した人物で、遭難中ずっと"ある女性"に食料を与えられて生き延びたという。しかしその女性は・・・。

画面の気持ち悪さは他の作品のほうが勝っていますが、こちらは擬音が上手く使われていて、"音"で気持ち悪さを想像させます。

『ご先祖様』

記憶喪失の女性・理佐が記憶を取り戻していく中で、恋人である牧田秀一とその奇妙な家族に不安や不気味さを抱いていく。そして、「なぜ記憶喪失になったのか」を思い出したとき、牧田家の奇妙な慣習が明らかになるというお話。

「よくもまぁ、こんなことが思いつくな・・・」と、そのアイデアに関心させられた作品です。

伊藤潤二作品はどれもが本当に奇想天外なものばかりで、恐怖や嫌悪感、そして不気味さを物語ります。